第8回YNU日本語スピーチ大会
スピーチ大会の発表資料・動画はこちらでご覧いただけます。
2018年12月11日(火)に横浜国立大学教育文化ホール大集会室にて第8回YNU日本語スピーチ大会が開催されました。今年度のテーマは「今○○に伝えたいこと」で、各国からの留学生10名がそれぞれの熱い思いを聴衆に伝えました。留学生を含む本学の学生、本学教職員のほか、日ごろ留学生支援に携わるボランティアの方々にもご来場いただき、総勢150名の方にお越しいただきました。
2014年度から国際理解科目とのジョイントで開催されているスピーチ大会も今年で5回目となりました。この試みは、日本語スピーチ大会開催に向け、日本人学生と留学生が協力しあうことで国際交流の機会を促進するという目的で進められています。今年度も「国際理解:国際交流における日本語の役割」というクラスの受講生25名がその役割を果たしました。
スピーチ大会には今年度もたくさんの応募があり、中上級の部7名と初中級の部の3名の合計10名の出場が決定しました。出場者は、研究生、短期留学国際プログラム(JOY)生、世宗大学校日本交流プログラム生、日本語・日本文化研修プログラム生とさまざまな身分の留学生で、出身は、中国、韓国、台湾でした。また、司会はアゼルバイジャン出身のアイダイエヴァ・ザリファ(大学院生・教育学研究科)さんが担当し、流暢な日本語で司会進行役を務めてくれました。
中上級の部の出場者は持ち時間4分の間にスライド6枚、初中級の部は持ち時間の3分の間に4枚のスライドを見せながらそれぞれの「今○○に伝えたいこと」について自分の経験や思いを聴衆に語りかけました。笑いあり、感動あり、学びありのスピーチで、どの発表のあとにも盛大な拍手が送られました。
スピーチの審査は内容、表現力、日本語力の三点について行われました。各スピーチは7名の審査員によって個別に審査され、その合計点をもとに各賞が選ばれました。審議中には来場者と出場者によるQ&Aセッションが行われ、出場者はリラックスした様子で来場者の方々からの質問に答えていました。
審査の結果最優秀賞が全体から1名選ばれたほか、優秀賞がそれぞれの部から選ばれました。最優秀賞受賞者には賞状と歴代の最優秀賞受賞者の名前が残されているトロフィーが、優秀賞受賞者には賞状が贈られました。また、読売新聞社からは読売新聞社賞の贈呈があり、読売新聞東京本社横浜支局長の横田博行様より賞状と盾が贈られました。その他にも「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスの受講生が選ぶ学生審査員特別賞が選出され、賞状の授与が行われました。
それぞれの受賞者には審査員から受賞の理由と感想が述べられ、賞状と記念品が贈呈されました。最後に出場者全員に本学卒業生の坂本健様より奨励賞が、日本語教育部より参加賞が贈呈されました。表彰式の終了をもって第8回YNU日本語スピーチ大会は閉会となりました。
当日の様子は読売新聞にて(2018年12月13日付)紹介されました。
懇親会
スピーチ大会終了後、国際教育センター106教室にて懇親会が開催されました。スピーチ大会に出場した留学生と友人、審査員の方々、地域ボランティアの方々、「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスの受講生など約40名が集まり、歓談の機会を持ちました。スピーチ大会についてだけではなく、日本での生活のことや、自国の話に花を咲かせていたようです。留学生が普段は接することがあまりない学外の方々とも交流するいい機会になったのではないでしょうか。
「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスとの連携
「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスの受講生25名は様々な形でスピーチ大会の準備や運営の支援をしました。一番重要な役割は出場者のスピーチ原稿のチェックと発表の練習の支援でした。受講生2〜3名が1グループとなって出場者が書き上げた原稿を読み、アドバイスをするという形をとりました。どうすれば留学生にとって学びの機会を提供できるか授業でディスカッションをし、その後各グループが実践活動をするという流れでした。留学生の日本語をただ推敲するのではなく、聴衆に何を訴えたいのか、なぜこの語彙や表現を使いたいのかという意図を聞きだしながら推敲を重ねたという報告が多く聞かれました。初めて留学生の日本語を知ることとなった学生も多く、数多くの発見や驚きがあったようです。原稿が出来上がったあとはスピーチ大会直前まで出場者の発表練習に同席しアドバイスをするという支援を行っていました。中には発表の際の身振り手振りをどうしたらいいかなど細かいところまで話し合ったグループもあったようです。
スピーチ大会当日は、出場者の紹介で会場を盛り上げてくれたり、受付、タイムキーパー、写真・ビデオ撮影、審査票回収と計算、Q & Aセッションの司会など、実際の運営にも大きく関わってくれました。どの学生も積極的に準備・運営に協力をしてくれたため、スムーズな進行ができました。
ポスターデザインコンテスト
スピーチ大会の出場者募集と同時に宣伝用ポスターのポスターデザインコンテストが開催されました。留学生だけではなく、日本人学生や教職員の方々からも募集を受け付けたところ、合計10点の応募がありました。すべてのポスターは国際教育センター2階ロビーに掲示され、一般投票が行われました。一般投票と「国際理解:国際交流における日本語の役割」クラスでの投票、事務の方々や日本語教育部教員による投票を合わせた結果、得票数が最も多いポスターが入賞作品となりました。
第8回YNU日本語スピーチ大会は「今○○に伝えたいこと」というテーマのとおり、留学生たちのメッセージが確実にはっきりと伝わった大会になったと思います。留学生たちからたくさんのことを学び気づかされるとても良い機会だったのではないかと思います。各方面からのサポートをいただき、無事開催できたことを大変喜ばしく思っております。関係者のみなさまありがとうございました。日本語スピーチ大会が本学留学生の活動の活性化につながるよう、YNU日本語スピーチ大会を企画運営したいと思います。
文責 金蘭美 (国際戦略推進機構 基盤教育部門 日本語教育部)
出場者(敬称略)
出場者たちの発表資料はこちらからご覧いただけます。
【初中級の部】
1.ペン・ジェウン 「今、悩みがある人に伝えたいこと-自分のための時間を持ってください-」
JOYプログラム/韓国
2.パク・ジウォン 「今、世界に伝えたいこと-性差別のない世界を目指して-」
世宗プログラム/韓国
3.イム・イェウン 「今、皆さんに伝えたいこと-慣れてしまうことの恐ろしさ-」
世宗プログラム /韓国
【中上級の部】
1.パク・ジウォン「今、障害を色眼鏡で見る人たちに伝えたいこと-みんなの力でより暖かく、より幸せな社会を-」
世宗プログラム/韓国
2.オウ・シカ 「今、好きな人に伝えたいこと-一期一会-」
JOYプログラム/中国
3.コウ・ズイ 「今、父に伝えたいこと-女の子でも自分の将来を決められる-」
JOYプログラム/中国
4.エン・ビビ 「いま、挑戦している人に伝えたいこと-太陽に向かって飛びましょう-」
JOYプログラム/中国
5.ソウ・ハクカイ「今、過去の僕に伝えたいこと-未来からの手紙-」
YNU日本語日本文化プログラム/台湾
6.ソ・テヨン 「今横浜国立大学の大学生たちに伝えたいこと-今したいことをしていますか?-」
世宗プログラム/韓国
7.ロ・エイエツ 「今、地図に伝えたいこと-ありがとう-」
研究生/中国
【司会】
アイダイエヴァ・ザリファ (教育学研究科/アゼルバイジャン)
審査員(敬称略)
【学外】
横田博行 読売新聞東京本社 横浜支局長
熊谷晃子 独立行政法人国際協力機構 横浜国際センター所長
坂本 健 三井ボランティアネットワーク・本学卒業生
【学内】
上ノ山周 国際戦略推進機構・基盤教育部門長
岸信 治 学務部教育企画課長
崔 瑛 都市イノベーション研究院 准教授
田島怜奈 国際理解科目受講生 日本人学生代表
受賞者(敬称略)
【最優秀賞】
コウ・ズイ 「今、父に伝えたいこと-女の子でも自分の将来を決められる-」
JOYプログラム/中国
【読売新聞社賞】
ソ・テヨン 「今横浜国立大学の大学生たちに伝えたいこと-今したいことをしていますか?-」
世宗プログラム/韓国
【初中級部の優秀賞】
ペン・ジェウン 「今、悩みがある人に伝えたいこと-自分のための時間を持ってください-」
JOYプログラム/韓国
【中上級部の優秀賞】
ロ・エイエツ 「今、地図に伝えたいこと-ありがとう-」
研究生/中国
【学生審査員特別賞】
ソウ・ハクカイ 「今、過去の僕に伝えたいこと-未来からの手紙-」
YNU日本語日本文化プログラム/台湾
受賞者の声
コウ・ズイ(最優秀賞受賞/JOYプログラム・中国)
最優秀賞をもらえるのは私にとって本当に意外なことでした。リハーサルの時から、皆さんのスピーチを聞いて、自分の内容と比べてもっと意味深く、面白いと思います。もともと緊張しやすい私は、この一か月の間でサポーターの七歌さんと遥雅さんはスピーチについて真面目に指導してくれて、スピーチの表現力や日本語の発音などがだんだん良くなってきました。スピーチするとき、メガネを外したのでそんなに緊張しなかったです。でも、緊張しないように努力すべきです。最優秀賞をもらったのは、ただその時に自分の日本語能力における「証明」なので、今後はもっといいスピーチができるように頑張ります。
ロ・エイエツ(中上級の部優秀賞受賞/研究生・中国)
中上級部優秀賞を受賞していただき、嬉しかったです。 いつも半沢先生またはキム先生からお世話になっております。 そして、教育学部の友達からもいろいろ助けてもらいました。 皆さんに出会ってください、そして助けてください。 心より感謝の気持ちを表したい――ありがとう!
ソウ・ハクカイさん (学部審査員特別賞受賞/横浜国立大学日本語・日本文化プログラム・中国)
最初はあまり参加する気がありませんが、そこまでスピーチコンテストに参加したことがないので、挑戦したい気持ちで申し込みました。諦めた後悔しいと思うより、とりあえず参加すると考えました。結局、最初の決定は正しいです。非常に珍しい経験になってよかったです。 ステージに上がって沢山の人々の前で話すのは、自分の寮で練習するのと全く違います。会場に来たら、緊張感がどんどん溢れていきます。ステージに一番近い審査員たち、隣のライバルも誰でもしっかり練習していたようです。そして来てくださった先生と学生も少なくなくありませんでした。緊張を克服するのは私にとって一番重要なポイントになります。 「学生審査員特別賞」、自分の名前が呼ばれたとは全然思えませんでした。司会者に「一言をお願いします」と言われた時、頭の中が真っ白になってしまいました。ですが、初めてスピーチコンテストに参加して受賞できて本当によかったです。これで私は胸を張ってサポーターに「今までありがとう」と礼を言えます。もしサポーターの協力がなければ、今でも緊張の弱点を克服できないでしょう。原稿の添削だけでなく、スピーチの発音と表現まで色々教えてくれてかなり勉強になりました。しかも何回も練習に付き合ってくれて、私は逆に少し申し訳ないと思いました。また、応援してくれた友達、聞きにいらっしゃったボランティアの方、そして家族に大変感謝します。今回のスピーチコンテストに参加したことはすごくいい思い出になりました。