第5回YNU日本語スピーチ大会(2015年) テーマ「私の国から伝えたいこと」
スピーチ大会の動画はこちら でご覧いただけます。
2015年12月15日(火)に横浜国立大学教育文化ホール大集会室にて第5回YNU日本語スピーチ大会が開催されました。今年度のテーマは「私の国から伝えたいこと」で、各国からの留学生10名がそれぞれの熱い思いを聴衆に伝えました。留学生を含む本学の学生、本学教職員のほか、日ごろ留学生支援に携わるボランティアの方々にもご来場いただき、総勢114名の方にお越しいただきました。
第1回から第3回までのYNU日本語スピーチ大会は例年10月に開催される横浜国立大学ホームカミングデーのイベントの一つとして行われていましたが、2014年度からは新たな試みとして12月の授業開講日に開催されることになりました。これは、国際理解科目の「留学生支援入門」という授業とのジョイントという形でスピーチ大会を企画したためです。日本語スピーチ大会開催に向け、日本人学生と留学生が協力しあうことで国際交流の機会を促進するというのが目的でした。今年度は、「国際学ⅡC」クラスの受講生がその役割を受け継いでくれました。
今年度もたくさんの応募があり、初中級の部2名、中上級の部8名、合計10名の出場者が決定しました。出場者は学部生、短期留学国際プログラム(JOY)生、世宗大学校日本交流プログラム生、日本語・日本文化研修プログラム生、UIBE日本交流プログラム生とさまざまな身分の留学生で、出身国はエジプト、ベトナム、中国、韓国、ベルギーの5カ国でした。また、司会はYokohama Creative-City Studies (YCCS)プログラム生のグェン・キラさんが担当し、流暢な日本語で司会進行役を務めてくれました。
中上級の部の出場者は持ち時間4分の間にスライド6枚、初中級の部は持ち時間の3分の間に4枚のスライドを見せながらそれぞれの「私の国から伝えたいこと」について自分の経験や思いを聴衆に語りかけました。笑いあり、感動あり、学びありのスピーチで、どの発表のあとにも盛大な拍手が送られました。
スピーチの審査は内容、表現力、日本語力の三点について行われました。各スピーチは7名の審査員によって個別に審査され、その合計点をもとに各賞が選ばれました。審議中には来場者と出場者によるQ&Aセッションが行われ、出場者はリラックスした様子で来場者の方々からの質問に答えていました。
審査の結果最優秀賞が全体から1名選ばれたほか、優秀賞がそれぞれの部から選ばれました。最優秀賞受賞者には賞状と歴代の最優秀賞受賞者の名前が残されているトロフィーが、優秀賞受賞者には賞状が贈られました。また、読売新聞社からは読売新聞社賞の贈呈があり、読売新聞東京本社横浜支局長の谷口透様より賞状と盾が贈られました。その他にも国際学ⅡCクラスの受講生が選ぶ学生審査員特別賞が選出され、賞状の授与が行われました。最優秀賞、優秀賞、学生審査員特別賞の受賞者には大理石でできたYNUモニュメントのミニチュア版も贈られました。
それぞれの受賞者には審査員から受賞の理由と感想が述べられ、賞状と記念品が贈呈されました。最後に出場者全員に審査員の小川富美恵様(坂本健様代理)より奨励賞が、日本語教育部より参加賞が贈呈されました。表彰式の終了をもって第5回YNU日本語スピーチ大会は閉会となりました。
当日の様子は読売新聞にて(2015年12月16日付)紹介されました。
懇親会
スピーチ大会終了後、国際教育センター301教室にて懇親会が開催されました。スピーチ大会に出場した留学生と友人、審査員の方々、地域ボランティアの方々、国際学ⅡCクラスの受講生など約30名が集まり、歓談の機会を持ちました。スピーチ大会についてだけではなく、日本での生活のことや、自国の話に花を咲かせていたようです。留学生が普段は接することがあまりない学外の方々とも交流するいい機会になったのではないでしょうか。
国際学ⅡCクラスとの連携
国際学ⅡCの受講生31名は様々な形でスピーチ大会の準備や運営の支援をしました。一番重要な役割は出場者のスピーチ原稿のチェックと発表の練習の支援でした。国際学ⅡCの受講生3〜4名が1グループとなって出場者が書き上げた原稿を読み、アドバイスをするという形をとりました。どうすれば留学生にとって学びの機会を提供できるか授業でディスカッションをし、その後各グループが実践活動をするという流れでした。留学生の日本語をただ推敲するのではなく、聴衆に何を訴えたいのか、なぜこの語彙や表現を使いたいのかという意図を聞きだしながら推敲を重ねたという報告が多く聞かれました。初めて留学生の日本語を知ることとなった学生も多く、数多くの発見や驚きがあったようです。原稿が出来上がったあとはスピーチ大会直前まで出場者の発表練習に同席しアドバイスをするという支援を行っていました。中には発表の際の身振り手振りをどうしたらいいかなど細かいところまで話し合ったグループもあったようです。
スピーチ大会当日は、受付、タイムキーパー、写真・ビデオ撮影、審査票回収と計算、Q & Aセッションの司会など、実際の運営にも大きく関わってくれました。どの学生も積極的に準備・運営に協力をしてくれたため、スムーズな進行ができました。
ポスターデザインコンテスト
スピーチ大会の出場者募集と同時に宣伝用ポスターのポスターデザインコンテストが開催されました。留学生だけではなく、日本人学生や教職員の方々からも募集を受け付けたところ、合計7点の応募がありました。すべてのポスターは国際教育センター2階ロビーに掲示され、一般投票が行われました。一般投票と国際学ⅡCクラスでの投票、事務の方々や日本語教育部教員による投票を合わせた結果、得票数が最も多いポスターが入賞作品となりました。
最優秀賞
卜・天舟さん(理工学部 研究生)
文責 金蘭美 (国際戦略推進機構 基盤教育部門 日本語教育部)
出場者(敬称略)
出場者たちの発表資料はこちら からご覧いただけます。
【初中級の部】
1.ソホ 「中国自動車産業のインターネット プラスの潮流」
経済学部/UIBE日本交流プログラム・中国
2.マリアム・アハマド・イスマエル 「イスラム教の正しいイメージ」
教育人間科学部/JOYプログラム・エジプト
【中上級の部】
1.ジョン・シニョン 「‘暖気’ ‐あなたに伝える韓国の情」
教育人間科学部/世宗プログラム・韓国
2.イ・ギフン 「井の中の蛙で満足するな」
教育人間科学部/世宗プログラム・韓国
3.キム・ヘイン 「日本語、そして韓国人」
国際教育センター/日本語日本文化研修プログラム・韓国
4.グェン・バン・クァン 「戦争が大嫌い私の国」
理工学部・ベトナム
5.チェ・ヨンファン 「韓国のゲーム文化産業」
教育人間科学部/世宗プログラム・韓国
6.パク・テス 「한글(ハングル)と私」
経営学部・韓国
7.ユ・ジュヨン 「青春時代の経験への挑戦」
教育人間科学部・韓国
8.パート・キラ 「私の小さな国の魅力」
国際教育センター/日本語日本文化研修プログラム・ベルギー
【司会】
グェン・キラ(YCCSプログラム・ベトナム)
審査員(敬称略)
【学外】
谷口透 (読売新聞東京本社横浜支局長)
小幡俊弘 (独立行政法人国際協力機構 横浜国際センター所長)
小川富美恵 (三井ボランティアネットワーク事業団)
【学内】
小野康男 (本学副学長・国際教育センター長)
伊藤陽子 (学務・国際課・課長)
シュレスタ・ナゲンドラ (経済学部・非常勤教員)
木下敬康 (国際学ⅡCクラス学生代表)
受賞者(敬称略)
最優秀賞
ジョン・シニョン 「‘暖気’-あなたに伝える韓国の情-」
読売新聞社賞
グェン・バン・クァン 「戦争が大嫌い私の国」
初中級の部優秀賞
マリアム・アハマド・イスマエル 「イスラム教の正しいイメージ」
中上級の部優秀賞
バート・キラ「私の小さな国の魅力」
学生審査員特別賞
キム・へイン「日本語、そして韓国人」
受賞者の声
ジョン・シニョン(最優秀賞・世宗プログラム 韓国)
振り替えってみると日本に来てから一番いい選択をした瞬間はこのスピーチ大会への参加を決めた時だと思います。たくさんの人の前で話した経験があまりなかったので、少し怖くて参加しようかどうか迷いましたが、大会の準備から最後に発表が終わるまで私は情熱や挑戦、自信を持てる人に成長しました。この大会を通してこれからすべてのことに対して怖がらずチャレンジできる力を得たと思います。また、日本の学生と交流できる大切な時間になったと思います。たくさん手伝ってくれた先生方やチューターにも感謝します。
パート・キラさん(中上級の部優秀賞・日本語日本文化研修プログラム ベルギー)
スピーチに参加すると決めた時に、私の日本語のレベルは他の人と比べたら、まだ全然高くないから、賞をもらうチャンスは低いと思いました。だから、最初に書いたスピーチは私のレベルを表すために書きましたが、手伝ってくれた人達のコメントを聞いて、日本語のレベルはそんなに重要ではなくて、自分の感情を説明すればいいと分かりました。書き直す時に、ベルギーの好きなところを選んで、自分の経験を思い出しながら書きました。当日は、すごく緊張していましたが、頭の中で、勝つか負けるかは関係なくて、ベルギーのいいところを紹介できるのが一番大事だと思いました。スピーチする時に、日本語が合っているのかどうかはあまり気にしないで、明るい感じで自分の国の魅力を紹介しようとしました。みんなのスピーチを聞いていて、すごく上手で面白くて、私はもう勝つチャンスがないと思いました。だから、優秀賞をもらうと分かった時に、本当に信じられないぐらい驚きました。聞く人に私の感情と紹介したいことを理解してもらって本当にありがたかったです。色々な人にベルギーのことが好きになったと言われて、すごく嬉しいです。横浜国立大学の日本語スピーチ大会に参加したことは忘れられない思い出になりました。ありがとうございます。
キム・ヘイン(学生審査員特別賞・日本語日本文化研修プログラム 韓国)
今年のスピーチ大会のテーマは「私の国から伝えたいこと」でした。私は自分が韓国人として、そして日本語を勉強している者として、何を伝えられるかを見つけるまで、非常に悩んでいました。私のスピーチの内容のように、ご清聴くださった外国語学習者の皆様が「間違っても、中途半端でもいいから努力し続ける」力を得られましたら幸いです。私にもまた私の夢に向かって頑張れる力を得られた貴重な経験になりました。 未熟な私でしたが、色々支援してくださったサポータの皆様、応援してくださった方々のおかげさまでできた経験だと思います。ありがとうございました。