2018年度 記念文集

古 凱文

古 凱文 コ カイブン

日本に来て、一年も経たなく、もうすぐ台湾に帰る時が来る。わずかな十ヶ月で、この国で多くの人と出会い、いろんな体験をした。花火も祭りも、自分でご飯を作るのも、初めての体験だった。来たばかりは本当に何もわからなくて、まともな会話もほとんどできなかった。幸い先輩たちとチューターの牧野さんが助けてくれて、感謝しかあるまい。伝えられるかどうかはわからないが、ここではありがとう、と言っておきたい。

 さて、外国人の自分が言うのもちょっとあれと思うけど、台湾と比べれば、日本の方が家らしい。もちろん家族がいないと本当の家にはならないが、言いたいのは気持ちの方だ。冬の雪、夏のゼミ声、街を歩くときに偶然に見た夕焼け、何もかも懐かしいと感じた。無論、台湾では雪など一度も見たことがない。なぜ懐かしいと思うのか、自分もわからない。多分、ここはこれ程居心地がいいと思わせるということか。

 台湾で、まだやらなくちゃならないことが残っている。帰るのを待っている人もいる。帰ったら、次にいつ日本に来るか全くわからない。もしかしたら、もう二度と来ないかもしれない。それでも、ここで見たもの、ここで学んだもの、今後の人生では、絶対に忘れることがないだろう。これだけは、自分は胸を張って言える。「日本に来て、本当に良かった。」と。

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